伊勢河崎「新・蔵くら談義18」~伊勢河崎のまちづくり過去・現在・未来~ 「伊勢河崎商人館&河崎のまちづくりの未来像を探る」

2023年03月05日(日)  伊勢河崎「新・蔵くら談義18」~伊勢河崎のまちづくり過去・現在・未来~ 「伊勢河崎商人館&河崎のまちづくりの未来像を探る」 (車、徒歩)

私が伊勢河崎商人館や河崎と出会ったのは約十年前。今でも河邊七種神社で開かれる古文書の会に参加しているので、河崎や伊勢河崎商人館のことを少しは気にしている。

【参考】

 

以前、新・蔵くら談義に参加したのは12回(2016年)だったから7年ぶりとなった。

【参考】

 

今回の談義は、伊勢河崎商人館の開館20周年記念である。

伊勢河崎「新・蔵くら談義18」

伊勢河崎「新・蔵くら談義18」

 

日時 令和5年3月5日(日) 13時30分~17時
場所 伊勢河崎商人館 角吾座

~伊勢河崎のまちづくり過去・現在・未来~
「伊勢河崎商人館&河崎のまちづくりの未来像を探る」
活動報告
①三重大学大学院浅野研究室と河崎のまちづくり
②伊勢河崎商人館開設20年を紡ぐ10ミニボイス
③映像で振り返る伊勢河崎商人館開設20年
談義<ディスカッション>
「伊勢河崎商人館&河崎のまちづくりの未来像を探る」
コーディネーター 浅野聡
コメンテーター  高橋徹
パネリスト   村田典子  伊勢河崎本通り活性化会議 会長
千島孝弘 伊勢まちづくり株式会社 プロジェクトマネージャー
藤原岳史  株式会社NOTE 代表取締役
森本かおり 森本オフィス 代表

【引用】 伊勢河崎商人館のホームページ より

 

会場には多数が集まり、開会の挨拶の後、活動報告①、②、③が進められた。

伊勢河崎「新・蔵くら談義18」

伊勢河崎「新・蔵くら談義18」

 

活動報告①では、三重大学大学院工学研究科の浅野聡教授が、商人館の開館前から携わってっきた河崎のまちづくりの変遷についてスライドで説明した。

伊勢河崎「新・蔵くら談義18」

伊勢河崎「新・蔵くら談義18」

 

商人館の開館に先立ち、1994年には住民参加型で伊勢市の都市計画マスタープランを作るため、公開ワークショップを開催したり、イラストや写真でわかりやすい「まちづくりガイドブック」を作ったりと、全国でも先進的な取り組みが進められた。このように作られた成長する都市マスタープランは「土地利用」などさまざまなマスタープランにも展開された。

河崎のまちづくりについてもこのような活動の一環として進められるなか、元小川酒店の廃業を契機として住民が声をあげ、この地を河崎歴史交流拠点として始め、現在の伊勢河崎商人館となっている。

長年に渡る地道な「まちづくり」活動があったから今がある。

 

活動報告②では、10ミニボイスとして、河崎や伊勢河崎商人館での活動に携わる方々から活動状況や思いなど現場でのナマ声が紹介された。

それは、市役所の方、蔵のテナントをまとめる蔵人の会、だいどこ市で商人汁をふるまう商人レディス、商人館の清掃ボランティア、ものづくりの教室や読み聞かせ会、伊勢春慶、河崎音頭、天王祭実行委員会、河有会、河崎 川の駅前での花木栽培、SNSでの情報発信と多岐に渡った。

 

活動報告③では、河崎の歴史を映像で残してきた長尾正男の自己紹介映像に始まり、河崎の歴史を簡潔にまとめた映像が上映された。

伊勢河崎「新・蔵くら談義18」

伊勢河崎「新・蔵くら談義18」

 

以前、長尾さんからDVDにアーカイブした「8ミリフィルムで移した1979〜1989年の河崎映像記録」をいただいた。そのことを思い出しながら、魅入ってしまった。

【参考】 これらのDVDを頂いた経緯はこちらに

 

以上で活動報告が終了すると、10分の休憩となった。(この間に集合写真の撮影)

 

休憩後、蔵くら談義「伊勢河崎商人館&河崎のまちづくりの未来像を探る」へと続いた。

パネリストによりテーマに対する助言や思いが紹介された。ここでは私のメモをまとめて紹介しておこう。(間違いなどに気づいた方はコメントいただけるとありがたいです。)

 

【伊勢まちづくり株式会社 プロジェクトマネージャー 千島孝弘さん】

伊勢河崎「新・蔵くら談義18」

伊勢河崎「新・蔵くら談義18」

 

この会社は、伊勢の中心市街地を盛り上げる役割を担い、空き家対策や観光客の誘致に尽力している。鉄道会社などのように企業主導ではなく、地域主導で実現した伊勢まるごときっぷ(すでに提供は終了)や中心市街地に設置したビデオカメラでのAI歩行者測定、これらの情報を利用した旅行者の行動パターン解析・活用なども実施しているそうだ。伊勢市に住む者にはあまり縁がないからだろうか、この活動内容は初めて知った。

また、皇學館大学の学生が地域活性化サポーターズとして、河崎には5人が入って観光DXなど活性化を進めている。

千島さんからは「露出を増やせば自ずと観光客は増えるので、河崎に観光客を呼んでいいのか?(増やしていいのか?)」との問いかけがあった。これは「集客なら任せておけ」と、自信の現れだろうが、それには河崎の住民の総意(方向性の決定)が重要となる。

 

【株式会社NOTE 代表取締役 藤原岳史さん】

伊勢河崎「新・蔵くら談義18」

伊勢河崎「新・蔵くら談義18」

 

ふるさとである京都府丹波篠山市を離れていた。しかし、空き家が増え、ふるさとが無くなる不安から地元へ戻ると、歴史的資源を活用した観光まちづくりを始めた。

大きなホテルを建てるのではなく、空き家などを宿泊施設や店舗として活用し、町全体がひとつのホテルとして機能する構想で、 NIPPONIA事業を全国に展開している。

例えば、丹波篠山は城下町で古い家並みは残っているが空き家が増えているので、点在する空き家を宿泊施設として城下町全体がひとつのホテルのようになっている。受付も宿泊も食事もすべて別々の場所で、受付からもっとも遠くにある宿泊施設までは約2.3km、必然的に町を歩くことになる。歩く途中で訪れたい場所を見つけたり、地元の方々との交流が生まれる機会も増える。観光客をお客様として向かえるのではなく、地元民と同等に考え、住民の生活空間を体感していただくような環境となっている。

宿泊費は5〜7万円と高めである。これは宿泊費に町の維持費が含まれているため。コンセプトは一泊から一生まで(移住まで、他拠点居住まで)であり、継続的に訪れるまたは移住を目的とした宿泊客をターゲットとしている。

注意すべきは、作り込み過ぎないこと。できる限りいまのままで、宿泊者は生活者と同じ空気を感じられるように。そのためにも生活者は宿泊者と距離を置かない。新しい目線は必要だが、新しいことはしなくても良い。地元での当たり前に日の目を当てれば良い。デジタル戦略としてはSNSやインターネットはもちろんだが、外からの目で地元を見る(見せる)ために地元のTV局や雑誌社も活用する。

 

【郷(さと)にいること】

里山、集落、城下町、宿場町……。
土地に根づき、人の暮らしや地域の生業によって育まれた日本の風景。
効率化が優先される現代社会の中で、今、その郷が放置され、
日本の原風景が失われつつあります。

私たち「NIPPONIA」は消えつつある古民家を起点に、
その地域ならではの食や生活文化などを丁寧にすくい取り、心を込めて養い、
美しい郷として再生し、皆さまの前に差し出したいと考えています。

歴史ある建物が醸し出す古き味わいは、どこか新鮮な魅力を秘めています。
自然とともにある暮らし、歴史や伝統に育まれた生業は、
未来の日本にとって、貴重な資産となると信じています。

NIPPONIAが再生した郷に滞在した人たちが
「なつかしくて、あたらしい、日本の暮らし」を体感し、
ここに暮らす人たちと「おかえり、ただいま」と心通わせる関係を築けたら。
旅人ながら居人のようにゆっくり、のんびり、暮らすように過ごす、
そんなささやかで贅沢な時間と出会いがあるのです。

【引用】 NIPPONIA のホームページ 私たちについて より

 

このような会社を運営する藤原さんによれば、「伊勢河崎には可能性がある」とのこと。

伊勢河崎「新・蔵くら談義18」

伊勢河崎「新・蔵くら談義18」

 

【森本オフィス 代表 森本かおりさん】

本業は編集デザインで「マップのちらし」や「かわら版」を制作する裏方として関わっている。

河崎とは40年前、二十歳の頃に出会い、長尾さんや西山さんや高橋さんにはいろいろと教えていただいた。伊勢の町づくりワークショップには20〜30歳代で参加していたが、河崎商人館ができる頃には本業に忙しく、河崎とは縁遠くなっていた。まちづくり衆に入ったのは3年前である。

2年前に還暦をむかえたので原点に戻って河崎へ戻り、最近はだいどこ市を手伝っている。自分でできる、ちょっと得意なことでお手伝いしたい。

伊勢の歴史を知ることができる場所がなくなっていく。ここは歴史を知れる場所、20年はがんばる。

 

【伊勢河崎本通り活性化会議 会長 村田典子さん】

しばらく東京にいて、河﨑へ戻ると魅力あるまちであることを実感し、河崎のことを盛り上げてきた。

商家の娘なので、今までは自分たちの資産をどのように運用するかに重きを置いてきた。親が16個の蔵を潰したの見てきたので、蔵を残すと決めてから私の町づくりが始まった。また、伊勢春慶なども、自分の血の中で騒ぐものを残してきた。

河崎は空き家がいっぱいだが魅力ある町、他の町とともに町全体が生き返ってほしい。(自分の資産だけでなく)

そのため、各地にあるNIPPONIAの施設や地域を見て回った。「できるのか?」との不安を感じながらも、株式会社NOTE や 伊勢まちづくり株式会社の力を借り、進んだまちづくりに一歩を踏み出そうと思っている。

河崎のまちづくりには一貫性があり、この町には生活のにおいがある。

人と人との絡み、さまざまな御縁が重要である。

 

定刻の17時を過ぎても、しばし談義は続いた。

伊勢河崎「新・蔵くら談義18」

伊勢河崎「新・蔵くら談義18」

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です