【紹介】本「伊勢西国三十三所観音巡礼 もう一つのお伊勢参り」千種清美(風媒社)

2023年07月08日(土) 【紹介】本「伊勢西国三十三所観音巡礼 もう一つのお伊勢参り」千種清美(風媒社)

伊勢神宮のエキスパートとして執筆や講演、テレビ番組の脚本、テレビ出演などで活躍されている千種清美さんが新たなる著書を上梓された。

それが「伊勢西国三十三所観音巡礼 もう一つのお伊勢参り」である。

伊勢三十三所観音巡礼、往時の手引(和具屋所蔵)と千種清美さんによる現代の手引書

伊勢三十三所観音巡礼、往時の手引(和具屋所蔵)と千種清美さんによる現代の手引書

 

「もう一つのお伊勢参り」と副題が付く観音巡礼に関する手引書であり解説書、持ち歩いて巡れるハンドブックでもある。令和元年の9月から「いせ毎日」に毎月、4年ほど連載された記事がまとめられたもので、お寺や巡礼についてはもちろんだがこの巡礼が「もう一つのお伊勢参り」と称される所以(伊勢神宮との関わり)などが随所で紹介されている。月に一度とはいえ、4年の歳月をかけて丁寧に取材された重みも感じられる。読み進めれば、現地でしか知り得ないような情報もありとても興味深い。

お伊勢さん125社を巡る者として「もう一つのお伊勢参り」には心惹かれてしまう。伊勢市周辺ではこの本で紹介されているお寺に立ち寄ったことはあるものの、観音巡礼の観点でお参りしたことはなかった。この著書を拝読し、再訪の楽しみが増えた。まだ訪れたことがない観音さんにも訪れてみよう。そんな気持ちにさせてくれる一冊である。

 

さらに、興味深いのは発行元が風媒社で、編集担当が林桂吾さんであること。

次の「これであなたも歴史探偵!・・」で、私も数ページを執筆した時にお世話になった方だった。

【参考】

 

さらにのさらに、こちらは以前に紹介した「伊勢河崎の和具屋で拝見した社寺巡拝の手引(古書)」である。手のひらにのるサイズで、胸ポケットにも収まるほどだ。

社寺巡拝の手引(伊勢河崎 和具屋所蔵)

社寺巡拝の手引(伊勢河崎 和具屋所蔵)

 

【参考】 両宮摂社末社廻ほか神社仏閣が記された古文書@和具屋(伊勢市河崎) 2019年08月24日

 

その時は、稲荷順拝と両宮摂社末社廻に注目していたが、目次を確認すると

社寺巡拝の手引(伊勢河崎 和具屋所蔵)

社寺巡拝の手引(伊勢河崎 和具屋所蔵)

 

そこには、「伊勢順礼 三十三所」の項目があった。

社寺巡拝の手引(伊勢河崎 和具屋所蔵)

社寺巡拝の手引(伊勢河崎 和具屋所蔵)

 

その部分を読み進めると一番 大江寺

伊勢順礼三十三所の手引(伊勢河崎 和具屋所蔵)

伊勢順礼三十三所の手引(伊勢河崎 和具屋所蔵)

 

二番 観音寺(朝熊岳)、三番 松尾寺 であり千種さんの手引と一致する。

伊勢順礼三十三所の手引(伊勢河崎 和具屋所蔵)

伊勢順礼三十三所の手引(伊勢河崎 和具屋所蔵)

 

ところが、四番 長命寺から寺号が一致しない。

伊勢順礼三十三所の手引(伊勢河崎 和具屋所蔵)

伊勢順礼三十三所の手引(伊勢河崎 和具屋所蔵)

 

(中略)

伊勢順礼三十三所の手引(伊勢河崎 和具屋所蔵)

伊勢順礼三十三所の手引(伊勢河崎 和具屋所蔵)

 

最後は、以上 三十三所である。

伊勢順礼三十三所の手引(伊勢河崎 和具屋所蔵)

伊勢順礼三十三所の手引(伊勢河崎 和具屋所蔵)

 

この手引から順礼番号順に書き出すと次の通り。

山号 院号・寺号
潮音山 大江寺
勝峯山 観音院
両池山 松尾寺
神鼓山 長命寺
鼓岳山 蓮臺寺
不動院(世義寺 観音寺)
真竜山 實性寺
冨向山 田宮寺
涌福智山 国束寺
摩尼山 金剛座寺
十一 丹生山 近長谷寺
十二 丹生山 神宮寺
十三 近田山 長谷寺
十四 恵日山 観音寺
十五 今井山 観音寺
十六 白子山 観音寺
十七 金井山 林光寺
十八 泰平山 附南寺
十九 播間山 慈眼寺(安養寺)
廿 日照山 住山寺
廿一 清龍山 宗徳寺
廿二 鶏足山 野登寺
廿三 紅葉山 高宮寺
廿四 垂坂山 観音寺
廿五 尾高山 引接寺
廿六 久国山 観音寺
廿七 鳴谷山 聖宝寺
廿八 井倉山 地高寺
廿九 穴太山 多井寺
星川山 要渡寺
丗一 走井山 勧学寺
丗二 雨尾山 飛鳥寺
丗三 多渡山 法雲寺

 

疑問に思い、調べてみると、和具屋で拝見した巡礼手引は、寛保元年(1741年)龍集による伊勢巡礼案内記で紹介されている霊場一覧であった。

その後、霊場も時代に即して見直されている。こちらの著書ではその変化も楽しめる。

 

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