2025年03月15日(土) 2025年春企画展 中澤 賢 写真展「Correction」@gallery0369(津市美里町三郷) (車、徒歩)
松原豊さんが運営するgallery0369(津市美里町三郷)では、2025年春企画展として 中澤 賢 写真展「Correction」が開催されている。
松原さんのFacebookで次の写真を見て、余白の暗さに惹かれ「はじまり」を感じた。

中澤 賢 写真展「Correction」@gallery0369
スクエアの写真だが、これはポートレートで撮られたものをトリムしたものに違いない。と勝手に思い込むとそのその真相を知るためにgallery0369を訪れた。
ギャラリーには、作者の中澤 賢さんが在廊されていて、作品の意図などを詳細に説明していただけた。
タイトルにある写真展を期待して訪れると衝撃を受けるだろう。その理由は・・・
ホワイトキューブの会場は写真展とは思えぬ様相で、それはインスタレーションだったから。
写真だけでなく、グラフィック、立体物、味噌汁を振る舞う器・・・
会場へ入って左側、いつもならステートメントが掲げられる場所には、私が余白の暗さに惹かれたスクエアの写真を含めた9枚の写真が展示されていた。
中澤さんによると
この作品が写真展のステートメントです
とのこと。
さらに
これら写真はAIが生成したもの。
私たちは均一化された社会に組み込まれている。15歳のやんちゃな少年が反抗して上げる声は、実は本音なのだろう。ひとびとは自主性を失い横並びになっている。自主性を取り戻すためにどうすればよいのか?
と続いた。(ただし、こちらは私の要約したので、中澤さんが話された言葉とは一致していないし、私の理解が間違っているかもしれない。)
展示された写真は9枚のスクエアで、8枚は滑らかな平面だが1枚だけはクシャクシャになっている。スクエアにもクシャクシャにも意味がある。
縦も横もない均一なスクエア。均一な写真に均一なフレーム。これらを取り囲むアングル。さらにはアングルを包むホワイトキューブ。均一の重層化である。
ネット社会となり情報は溢れ現場を訪れなくても容易に手に入れられる。そのため、私たちが得る情報は均一化、同質化してしまう。さらに、これらはリアルなのかフェイクなのか?その判断もなく無条件に受け入れてしまっているのではないか? 情報操作で誰かに都合がよくなる情報が刷り込まれていないか?などなど、現代社会への、その社会に生きる私たちへの問いかけとなっている。
また、
9枚の写真に込められた意図は、他の作品にも働いていて、それらも写真的に理解できるの
だと。
ちなみに、スクエアの写真がスクエアでないフレームに収まっている理由を尋ねたところ
スクエアのフレームにしたかったが費用面で断念した。
さらに
パイプの作品もスクエアになるようにパイプの本数を計画したが、結果的には費用面でこの状態になった。ただし、1本のパイプは一度曲げてから元に戻し、曲げる位置は意識して決めた。
とのこと。
歯を矯正するマウスピースは
自身が知っていることを疑うべき
と・・・
床を照らす照明は人生の縮図(紆余曲折のない直線的な人生だと、照らされる領域が狭くない)である
なお、訪れた時には地元美里で作られた味噌をつかった味噌汁が振る舞われていた。
これも作品で、味噌汁を知るには写真で説明するよりも実際に飲むしかない。しかも、味噌汁を飲む器には先に紹介した9枚写真の意図が込められていた。白い揃いの器だが
この子だけは素材が異なれば、割れたものが修繕されている。
中澤さんにお話を伺えたからこれらの意図を知ることができたが、説明を受けずに作品群を目にしていたら頭を抱えていたことだろう。
写真展ではない写真展。とても刺激的な写真展だった。実に面白い!
残りの開催期間は、3月16日(日)、20日(木・祝)〜23日(日)
詳細はこちら、
【参考】