2025年03月22日(土) パネル展「旧越賀村郷蔵 修繕事業報告」@志摩市歴史民俗資料館 (車、徒歩)
現在、志摩市歴史民俗資料館では次のパネル展が開催されている。
【パネル展「旧越賀村郷蔵 修繕事業報告」 開催のお知らせ】
志摩町越賀にあり、県の指定史跡となっている旧越賀村郷蔵。
昨年風雨の影響により一部が破損したため、修繕事業を実施しました。
その経過などを本パネル展で報告します。
また、使用されていた大釘や、蔵に保管されている古文書の一部を展示します。
パネル展「旧越賀村郷蔵 修繕事業報告」は下記の日程で開催します。
開催期間:令和7年3月18日 (火)~3月30日 (日)
開館時間: 9時30分~18時(入館は17時30分まで)
休館日 :毎週月曜日、毎月最終木曜日、3/23(日)の臨時休館日
旧越賀村郷蔵については、以前に訪れたことがあったので、「修繕」と聞いて気になってしまった。
【参考】
朝から志摩市歴史民俗資料館を訪れた。
資料館の入口では、こちらのパネルが出迎えてくれた。
そして、パネル展はこちら。
修繕に至った経緯(今年度、風雨の影響で庇が壊れ、瓦屋根が落ちるなどの被害があったため、1月より三重県の文化財補助金を活用して修繕したこと)や郷蔵の説明、被害状況(放置すると建物の倒壊や飛散物で2次被害の恐れ)について展示されていた。
これに続き、修繕方法やその内容が説明されている。
【修繕箇所】
- 庇部分の再設置
- 庇屋根の新設
- 壁面の再設置及び劣化部分の新調
- 壁面を固定する大釘(劣化部分)の新調
- 電気配線の再設置
さらに、文化財では現状を保存することを優先し工法を変更しないのが原則だが、今回は維持の観点から次のように工法を変更したことが説明されていた。
- 庇屋根へのルーフィング(防水シート)設置
- 屋根瓦の設置方法変更(瓦を外側へ1cmほど移動し、固定位置を変更)
- 庇部分のボルトによる補強(大釘での固定に加え、ボルト固定を追加)
最後には
こちら、工事によってわかったこと
- 鎧壁(板壁)の下地が漆喰で、そこには墨で線が描かれていた(当初は漆喰壁だったかも?)
- 壁面を止める大釘は九寸(約27cm)だった(当初は八寸(約24cm)と見込んでいた)
さらに、「修繕事業を通して」として本事業が総括されていた。
今回、風雨の影響から郷蔵が損傷してしまうという事態に直面しましたが、無事修繕を終えることができました。
修繕する中では、昔ながらの鍛冶(かじ)技術を用いた大釘(おおくぎ)は現在ほとんど造られておらず、対応に苦慮しました。
文化財の伝承については、近年担い手不足が大きな問題となってきておりますが、それを支える道具なども、同様に技術の伝承が難しくなっていることが明らかになり、より一層の文化財保護に努めていかねばなりません。
最後になりましたが、本事業遂行にあたり多くの方々にご協力いただきました。厚く御礼申し上げます。
パネルに加え、今回の修繕で交換された大釘の現物が展示されていた。
私が錆を育てている和釘とは大違いの大きさだった。
【参考】
- 解体した襖から抜き取った和釘の錆を育てる器の交換 2020年06月17日
さらには、越賀村地下諸事記(享保)が展示されていた。